お嬢サト子の裏切り(27)火に油。
自分の気持ちと要望をサト子にメールした。
これからようやくこの数ヶ月の出来事を説明してもらえるんだ。
少なくとも疑ってばかりで訳も分からず不安を抱えていたことからは解放される。
さあサト子。
式をキャンセルしたと言ったまま連絡を絶った経緯と理由を教えてくれ。
そう思っていた。
しかし、返事はサト子からではなくダンナの木田から届いた。
「度々メールをして申し訳ございません。
黒子さんが大変な時に、私たちの無神経な行動で本当につらい思いをさせてしまいました。
彼女もとても心を痛めています。
大変申し訳なく思い、私が代表してメールさせて頂きました。
この度は本当にすみませんでした。では失礼します。」
歯。
おい待て。
「では失礼します」?
もしかしてそれで全てを終わらせるつもり?
>黒子さんが大変な時に、
歯。
サト子に送ったメールの内容は人に容易く語れない私の不安要素だった。
サト子だから話した。
それをダンナが知っている・・・?
>彼女もとても心を痛めています。
歯?
なにそれ。だからこれ以上責めないでくれって?
>私が代表してメールさせて頂きました。
歯?
代表?ダンナが謝るからサト子のことを許してやってくれって?
冗談じゃない。
これまでも木田とやり取りしている間、サト子を庇ってばかりで(サト子は本当に優しい子なんです!)腹立たしかったが、”悪いのはサト子、この人は無関係”と言い聞かせてきた。
しかしそれもはっきり言って火に油だった。
今回のメールはついにガソリンを投入された気分だ。
以前、木田が「サト子は家族の問題でナーバスだから黒子のことはまだ話せていない」と言った時に堪忍袋の緒が切れた。
オマエが式後に彼女から連絡させるって言ったのを信じて待ってたんだ。
それすらオマエらの都合で待ちぼうけくらってこちらから催促したんじゃないか。
これでようやくサト子本人と連絡取れたってのにオマエが謝罪して終わらせるのか?
今度は何が切れたか分からないが何かがブチ切れた。