黒子の黒い腹のうち

ひいた男、ムカつく女。

お嬢サト子の裏切り【番外編】一石二鳥

「私働きたくなーぃ」

 

片肘をつきながらサト子がよく言う言葉だった。

 

当時はたまにトイレで泣いてしまうことがあるほど仕事が嫌だったそうだ。

 

だから結婚したいと。

 

 

サト子に入籍したと事後報告を受けた日、結婚に至るまでを軽く話してくれた。

 

サト子は当時病院勤めで医者や看護師ではないが、患者と接する仕事をしていた。

 

もちろん担当している患者がいる。

 

仕事を辞めたいけど患者との関係があるから辞めにくい。

 

ただ単に"辞めたい"では辞められない。

 

誰からも咎められることなく後ろ髪を引かれずに辞めるにはそれなりの理由がいる。

 

ではどうやって後腐れなく辞めるか。

 

 

サト子は彼(木田)に相談していた。

 

相談というか彼からある言葉を吐かせるように遠回しに誘導していた。

 

「どうやったら患者のことを気にせずに辞められるかなぁ」

「どうしたら後腐れなく辞められるかなぁ」

 

サト子は頻繁に彼の前でぼやいていたそうだ。

 

そしてついに彼はある言葉を言った。

 

「もう結婚するから退職しますって言っていいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この言葉を聞いたサト子は

 

「"それそれ!!その言葉をずっと待ってたのよ!!"って思ったね!!」

 

と言っていた。

 

 

なるほど。

 

正式なプロポーズではないが、これはプロポーズさせたも同然。

 

遠回しに結婚を催促したわけだ。

 

尚且つ寿退社なら誰も文句言うまい。

 

むしろ祝福されながら辞める事ができるし、引き継ぎだって悪く思われないだろう。

 

 

後腐れなく仕事を辞めたかったサト子。

 

結婚したかったサト子。

 

彼を上手く誘導する事でどちらも叶えた。

 

一石二鳥。

 

 

 

誕生日の誘導尋問といい、

 

男のために友人を利用することといい、

 

まったくサト子らしい。

 

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