お嬢サト子の裏切り(18)予想外
サト子との約束の日。
待ち合わせのY駅で合流し、さあどこに行こうかと言おうとしたところ、
サト子「こっち。お店予約してるんだ」
予想外。
今まで一度だって予約したことなんてない。
いよいよ何かあるなと確信した。
（しかも相談なしにお店決められてる・・・！！）
そしてお店に到着し、サト子が入り口で予約名を告げたのだが。
サト子「予約した木田です。」
黒子「え？」
サト子「あ・・・」
一瞬気まずい空気が流れた。
サト子は木田（仮）と名乗った。
だがそれはサト子の苗字ではない。
サト子は副田（仮）だ。
やはりもう1人誰かくるの・・・？
彼氏？？？
それともまさか・・・
いやいやまさか。
私たちは席に案内されたのだが、着席とともに私はジョーク寄りの半信半疑で、
「なに、結婚でもしたの？」
と聞いた。
サト子「あ、うん。入籍したよ」
歯・・・・・・・・・・？
現代っ子は「一瞬」の使い方を間違えている。
「一瞬ペン借りてもいい？」
「いま一瞬話してもいいかな？」
「一瞬待ってくれる？」
全部一瞬じゃ終わらねぇよ。
サト子の発言が予想外すぎて私は本当の意味で一瞬思考が停止した。
なんだって・・・？？
入籍「した」・・・？？
「する」んじゃなくて？？？
3年近く相手がいないって言ってなかった・・・・・？？？？？
我に返って私は
「えー！おめでとう！！」
とは言ったものの、ものすごく作り笑顔だった。
祝う気持ちよりも疑問が勝った。
黒子「いつ（入籍したの）？」
サト子「入籍は3月」
歯ぁあ・・・・・・・・・・！？？？？？
今は5月。
予想外どころじゃない。
黒子「・・・そうなんだ☆」
私はすごくショックだった。
サト子とは色々あったが、私は高校からの唯一無二の親友だと思っていた。
サト子は非常識なところも多々あるが、お互い信頼し合い、なんでも話してきた仲だと思っていた。
他の人には言えないような悩みもサト子には話したし、サト子もそうだった。
きっとおばあちゃんになってもずっとこの距離感で付き合っていける相手だと思っていた。
それなのに。
結婚が事後報告。
しかも2ヶ月後。
彼氏ができたなんて報告は確かに要らないが、せめて結婚が決まったくらい教えてくれたって・・・。
それって大事なことだと思うし、なんで教えてくれなかったんだろう・・・。
しかし彼との交際歴を聞くと約２年とのことだった。
歯・・・・・・・・・・・・・・！？！？！？
んじゃ毎回「彼氏できない」って言ってたの嘘じゃね？
それまで全部をオープンにしてきたのになんでそこだけ隠す必要があったのか全く理解できなかった。
嘘ついていたとか、はぐらかされていたとしか思えなかった。
タヌキめ。
私は表面上は一生懸命笑顔で対応したが、内心ものすごくブルーだった。
しかしサト子は変なことを言った。
サト子「はぁー・・・やっと人に話せた・・・。」
？？？
どゆこと？？
サト子曰く、結婚したことを自分の口から直接話せたのは私が初めてとのこと。
職場で知られるのは避けられなかったが、職場以外で友人には誰にも話せていなかったとのことだった。
なんで？？
その辺は聞いても本人がよく分かっていないようだった。
機会がなかったなんて言っていたがバカなのか。
今はメールもLINEもある。
電話してもいいんじゃない？
あ。サト子はドケチだから電話代がかかるようなことはしないんだった。
そしてサト子は入籍と同時に仕事も辞めており、専業主婦となっていた。
いわゆる寿退社だ。
サト子「でも妊娠はしてないんだぁ。ほら、お腹ぺちゃんこ（笑）」
そんな話はどうだっていい。
仕事辞めて専業主婦・・・
だから今回の予定を決めるときに仕事が終わる時間をはぐらかしたのか・・・。
その後も私は心中穏やかではいられなかった。
後日、彼氏にサト子が入籍していたことを話した。
彼氏「は？それホントに友達！？結婚するも教えてくれない上に入籍が事後報告とかありえないわ。」
ですよね。
