お嬢サト子の裏切り(14)自己中サト子とフミ子の亀裂
卒業後、私は例によって板挟み状態で双方から話を聞かされた。
フミ子は、ついに卒業当日を迎えたため今日こそ話してくれるだろうと信じていた。
式後もサト子と2人になったしお店にも入ったが、サト子はなかなか口を開かなかったらしい。
フミ子はそれまで催促することはなかったが、流石にこの日は約束の日だったため少し催促したそうだ。
(約束といってもサト子の一方的な期日だけど)
「前から言ってた話したい病気ってなに・・?」とか聞いたらしい。
でもサト子は話さなかった。
それどころかサト子は泣き出したため、フミ子はそれ以上聞くことができなかったらしい。
一方サト子は。
”わからないけど話せなかった”と言っていた。
やはり以前からフミ子から感じるプレッシャーのせいもあったようだけど。
「黒子に話したときは今話せるな、話したいなと自然に思ったんだけど、フミ子のときはすごく催促されてる気がして話しにくかった」
とか言っていた。
そしてサト子は驚くべき一言を言った。
「私としては、友達が話したくなさそうなら"話せないんだ、じゃあしょうがないな"と思って欲しかった」
黒子「それは流石にちょっと勝手なんじゃない?」
サト子、あまりにも勝手で自己中なんだけど。
病気に関して「病気だからと言えば許してもらえると思うな」と周囲の理解を得られないのは同情するが、それとこれとは別問題だ。
はっきり言って「だからって許してもらえると思うなよ」と心の底から思った。
サト子。あんたが言い出さなければ私たちは気にも留めなかったことなんだけど。
あんたが何の前触れもなく
「2人に持病を打ち明けたい。卒業までには絶対に話すから」
と事あるごとに言ってきたんだ。
私もフミ子もただ待ってただけ。
こちらから催促したことは一切ない。
黒子「フミ子の気持ちも考えてみなよ。
もう1人の友達には打ち明けたのに何で自分には話してくれないんだろうって不安を何ヶ月も抱えてたんだよ?
こちらから何か問い詰めたんじゃなくて、サト子が勝手に決めたことじゃん。
フミ子はよく分からないことで卒業までに話してくれるっていうのを信じて待ってただけだよ。それでも話してもらえなかったわけじゃん?
なのに”話したくないんだ、じゃあしょうがないや”と思って欲しいなんて勝手だと思わない?」
私はサト子にそんなことを言った。
サト子は目に涙を浮かべながら「あー・・・」と相槌を打っていた。
どこまで理解してくれたか知らないけど。
その一件以来サト子とフミ子は一旦気まずくなった。
らしいが、実はその後も普通に交流が続いており、サト子はフミ子の家に泊まりに行ったりもしたらしい。
それでもやはり持病については話せなかったらしいけど。
この一件で2人の間に何らかの溝ができたのは確かなのだが、実はその後、サト子の持病とは全く無関係のことで2人は大ゲンカし、本当の意味で疎遠となってしまった。
原因は何かって?
サト子がフミ子に借りたCDの背表紙を失くしたとかなんとか。
そこからお互い色んなことを蒸し返して言い合いになったんだと。
「そんなこと言うならあんたこの前○○だったよね!?」
「は?××棚に上げといてよく言うわ!!」
みたいな?
女3人というのは内2人が仲良くなって残りの1人が間に挟まれることが多い。