黒子の黒い腹のうち

ひいた男、ムカつく女。

お嬢サト子の裏切り(12)サト子の持病

kuroikuroko.hatenablog.com

 

ある日の放課後。

 

その日はフミ子はおらず、サト子と2人だった。

 

きっかけはうろ覚えだが、

確かサト子が

「今日このあと時間ある?話したいんだけど」

とか聞いてきてそのままマックかなんかのお店に入った。

 

サト子の雰囲気で「以前から言っていた精神的な持病について話したいんだな」と悟った。

 

席につくと自然にその話は始まった。

 

 

 

どこが悪いというより、気持ちや感じ方についての病気だった。

 

サト子が日常的に周囲の環境をどう感じているかや、その感覚が他人とは違うものだと認識していること、それにまつわる悩み、通院していて薬も飲んでいること等、サト子の持病について色々なことを聞いた。

 

病名までは覚えていないが、症状を聞いて確かに一般的に理解を得るのは難しい病気だなと思った。

 

話を聞かなければそれが病気だという認識さえも持たなかっただろう。

 

サト子の家族もわかってはくれないと言っていたが、サト子と同じ目線で同じ気持ちになるのは難しいものがあるとも思った。

 

その病気のため、サト子が本当の意味で落ち着けるのはトイレの個室に入ったときだけだとも言っていた。

 

狭い部屋で誰の目にも触れなくなったときに初めて自分になれる。

そんな感じのことを言っていた。

 

 

 

サト子は一見普通の女の子。

 

誰も精神疾患者(というべきか)だとは思わない。

 

話を聞いた後でもそう思わない。

 

 

でもだからこその悩みや苦労がある。

 

どう見ても健常者にしか見えない人が「実は心の病気で・・」なんて言うと「甘えている」と思われがちだ。

 

それを言えば優しくしてもらえる・許されると思ってんのか、なんて思う人もいるだろう。

 

そこが”理解を得られない部分”だ。

 

 

サト子は家族もイマイチわかってくれないと言っていた。

 

医療一家の家族でもそこは別問題らしい。

 

 

理解者がいない。

 

病気に限らずそれはものすごく辛いことだ。

 

自分の気持ちを理解してくれなくとも汲み取ってくれる人がいて初めて安心するものだ。

 

これまで散々サト子を非常識扱いしてきたが、なんとなく感じていたシンパシーはここにあったのかもしれないと思った。

 

 

黒子「それは色々と辛い思いをしたね」

 

とか声をかけたと思う。

 

サト子も「話せてよかった」と言っていた。

 

※ただし、今まで書いてきた内容(ケチだったり厚かましかったり周りを見ていなかったり)は病気とは無関係で性格の問題。

 

 

 

 

あとはフミ子にも打ち明けるだけ。

 

だったのだが。