お嬢サト子の裏切り(13)板挟み黒子
サト子の持病を聞いた後日、フミ子にもそれが伝わった。
3人でいるときにサト子が「黒子には話したから今度はフミ子にも話すね」と言った。
だがサト子はフミ子に一向に話そうとしなかった。
そして刻々と卒業が近づいてきた。
卒業が近づくに連れ、私はサト子とフミ子の両方からサト子の持病について話を聞く羽目になった。
要は板挟みだ。
フミ子は専ら不満を漏らした。
「サト子ちゃん、いつも"卒業までには話すね"って言うけど、2人きりになっても全然言ってくれないんだけど・・・」
とか
「卒業までに私にもちゃんと話してくれるのかな・・・」
とか。
そりゃそう思うよね。
私がフミ子でも同じ不満を抱く。
なぜもう1人の友達には話したくせに自分には話してくれないのか
なぜ2人に話すと言って先に1人にだけ話したのか
なぜ3人でいるときに話してくれなかったのか・・・
私だったらそう思う。
ちょっと仲間はずれにされたような気分にもなる。
だいたいサト子が勝手に言い出したことだし。
私たちから「どうしてサト子ってこうなの?」とか「何かわけがあるの?」とか言って、
サト子が「今すぐは話せないから卒業までには話すよ」というやり取りならまだしも。
私たちから何も言ってない。
そもそもサト子について性格的に非常識だなと思うことはあってもそれ以外で気にしたことはない。
何度も言うがサト子が勝手に唐突に「2人に持病を打ち明けたい、卒業までには絶対話す」と言ったのだ。
私たちは訳が分からないまま特に要求していないことで待たされてる感じだった。
私はフミ子のモヤモヤに共感した。
一方サト子は不安や焦りを漏らした。
言葉にならないフミ子からのプレッシャーを感じていたらしい。
フミ子と2人きりになるとフミ子から"話してくれるよね?"オーラを感じるという。
いかにも話を進めて欲しい空気になって不安を煽られるそうだ。
いやいや。悪いけどそれはサト子に非があるわ。
あんたが言い出さなきゃ私たちは"よく分からないことを待たされる"なんてことにはならなかったのだ。
期限決めたのもあんたでしょ?
プレッシャーや不安を感じるってあんた・・・
自業自得でしょうに。
できないことは宣言するんじゃねぇよ。
そして卒業当日。
サト子はフミ子に話さなかった。