超鈍感セクハラ男(1)「緊急連絡先を教えてください」
これもまた派遣先での話。
長きに渡り、超鈍感セクハラ男(T氏)から不快なメール攻撃をくらった。
T氏は40歳半ばで建設企業勤務。
180センチ以上の高身長でひょろっとしている。メガネ。
一見穏やかそうに見えるが、実はいつでも逃げ道を作っている卑怯者。
こいつはタチが悪かった。
既婚者で単身赴任。
PCのデスクトップは子供と一緒に写った写真にしている。
赴任先で愛人作って寂しさを紛らわしたかったか羽を伸ばしたかったんだろう。
数年前の夏。
年度末までの短期契約で営業の事務サポートとして私はこの会社に派遣された。
その1週間後、T氏が他支店から移動してきた。
当時、私の指揮命令者はK氏(♂年下)だった。
私は基本的にK氏の指示で作業していたが、どうもK氏はT氏のサポートもしていたらしく、私の業務は2人分のサポートとなっていた。
本当は1人の社員に1人専属で派遣がつくんだったけど。私は特殊だった。
とにかく忙しい会社で、社員は夜12時前後まで残業することもしばしばあり、派遣の募集も「残業に柔軟に対応してくれる方」と書かれていた。
派遣されてから半年ほどが経過した頃。
K氏が自分の業務とT氏のサポートに挟まれて負担がすごかったのか、年明けと共にT氏のサポートを離れたと聞いた。
ものすごく事後報告だったが。
K氏専属の派遣は新たに雇うことになり、私はT氏専属になった。
つまりここから私の指揮命令者はT氏となる。
要するにK氏は「Tさん、黒井さんをどうぞ使ってください」とリース品のごとく私を渡したわけだ。
T氏が指揮命令者となり、これ以降は1対1の業務となった。
この会社は忙しすぎて息つく間もなく作業を振られたし、担当社員以外の社員と話す機会なんてほぼない。
他の社員なんて名前すら知らない人ばかり。
本当に「社員1人に派遣1人」の狭い世界だった。
T氏の専属=T氏が指揮命令者になったことで、T氏に「そういえば緊急連絡先を教えてください」と言われた。
その時は私の連絡先を教えるのではなく、T氏の会社スマホの番号を聞いたので、後ほど連絡しておくということになった。
これが間違いだった。
それまで知らなかったが、派遣は個人情報を派遣先に開示する義務はないのだ。
自分の携帯の番号やメアドを教える必要はない。
緊急連絡先は派遣元の連絡先でいいらしい。
そうとも知らず、翌日私は用があってT氏の会社スマホに着信を残した。
つづく