超鈍感セクハラ男(2)遠回しにLINEアカウントを聞き出そうとする。
季節は真冬も真冬。
T氏に連絡先を聞かれた翌日、大雪で交通規制がかかり私は出勤できなくなった。
今日、会社休みます。
会社に電話したところ、元指揮命令者のK氏が出た。
「あー・・・Tさん今日は朝から出張なんで自分で連絡してもらえますか?」
なんだと。
会社に連絡したんだからいいじゃないか。
ちなみにこのK氏もなかなか非常識なヤツだったので、ここではっきり「T氏にメールしといてください」と言えばよかったんだが、K氏の可哀想なくらいの忙しさを知っていたのでやめた。
まぁ昨日T氏のスマホに着信残すって話しになってたしちょうどいいか。
そんなわけで私は昨日教えてもらったT氏の会社スマホに電話して直接欠勤を伝えた。
ちなみにケータイの番号は教えたがメアドは教えていない。
T氏は割と外出・出張が多い。
ケータイの番号を教えてからというもの、T氏は外出時によくショートメールを送ってくるようになった。
「今から飛行機に乗るので電源落とします」とか「今から(会社に)帰ります」とか。
ぶっちゃけそんな連絡は「必要」ではない。
あった方が親切かな、という程度。
1対1の仕事だったため、T氏の行動を逐一報告してくれるのは何かあった時に助かりはする。
緊急で確認したいのに連絡が取れない、なんで!なんて時。
あんまりないけど。
ただ、本当に必要な連絡は会社に電話をかけてきたり、PCメールに指示を送ってきたりしていたので、やはり個人ケータイに連絡を入れてくる必要はないのだ。
ありがたいような迷惑なような、なんとも言えずに普通に「わかりました」と返信していた。
ある日、T氏が外出した直後にショートメールを送ってきた。
「そういえばショートメールだと通話料がかかるので、他の無料で使える連絡手段に変えましょうか?LINEとか。」
歯。
待て。まてまてまて。
そもそも個人ケータイで仕事の連絡をする前提ってどうよ。
仕事でLINEアカウント教えなきゃいけないってどうよ。
短期契約の派遣先で教えるわけないじゃん。
あんたは会社支給のスマホだからいいでしょうけども。
「いえ結構です。無料通話分で納まるだろうしそんなに連絡することもないですし」と返した。
個人的には”そんなに連絡することもない”を強調したかった。
T氏「そうですか。だったら大丈夫ですね。」
この連絡がきっかけで、私はT氏を警戒しだした。
こちらを気遣っているように装って本当はLINEアカウントを聞きだしたかっただけなんじゃ・・・?
というのは、実は今までに心当たりがないわけではなかった。
T氏が異動してきてから約半年。
つい先日まではK氏を間に挟んで仕事をしていたため、T氏から直接作業説明を受けることはほとんどなかったが、異動してきた当初からT氏は私と話す時にあまり目を合わさないようにしているのが分かった。
目を合わさないようにというか、女を意識して緊張している・目をうまく合わせられない、といった印象だった。
ただ、それが私個人に対してなのか、女性全般に対してなのかは不明だった。
しかしLINEの一件で、これも怪しく思えてきたのだ。
やっぱり以前から私個人を意識していたのか・・・?
正当な理由で個人情報を聞き出そうとしてくる男ほど怪しいものはない。
つづく