黒子の黒い腹のうち

ひいた男、ムカつく女。

面倒なバツイチ男(12)「塩辛いものが苦手だと伺いましたので・・・」

kuroikuroko.hatenablog.com

 

食事の誘いを断らなかった事に自己嫌悪。

 

あの瞬間から翌日まで胃が痛かった。

 

今からでも断ろうかなと何度も思ったが、結局良い断り方が思いつかなかった。

 

一度OKしたくせにドタキャンするような女と思われたくもなかった。

 

結局腹をくくって行くことにした。

 

 

翌日M氏からメールで食べ物の好き嫌いを聞かれた。

 

色々あるが、塩辛いのが嫌いだと答えた。

 

その後お店を予約したとの連絡が入り、夕方待ち合わせすることになった。

 

 

そして来店。

 

M氏が予約したお店はイタリアンレストラン。

 

とてもおしゃれで雰囲気のあるレストランだった。

 

これが好きな男だったらやってくれたことは完璧なのに。

 

 

M氏が言うにはコースを予約するつもりだったらしいが、コース料理は殆どアンチョビ(塩辛いもの)が入っていると電話で聞いたためヤメタとのことだった。

 

だったらアラカルトでもいいかなと思ったらしい。

 

あまり気にせず聞いていたが、これがこの後とても恥ずかしい思いをすることになる。

 

注文をすませ、早速バーニャカウダが席に来たときだった。

 

なぜかウェイターではなくシェフ自ら持ってきた。

 

なんで?と思っていると、

 

「こちらのバーニャカウダのソースはアンチョビがベースとなっておりまして、お客様は塩辛いものが苦手だと伺いましたのでオリーブオイルでなるべく薄く伸ばし、塩辛さを感じないようにしております」

 

シェフが私に向かって説明してくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

歯。

 

私の嫌いな食べ物をお店に伝えたの!?

 

それはあくまでM氏がお店を選ぶときの参考に聞いただけだと思っていた。

 

嫌いなものがあるならメニューから選ばなければいいだけだ。

 

それをなんだ。「一緒に行くコが塩辛いもの嫌いなんです」とでも伝えたのか。

 

アンチョビばかり出す店なら選択肢から外せよ。

 

 

一般的にデートでこんなことをされると女性は喜ぶものなのか。

 

少し妄想してみた。

 

相手がM氏ではなく好きな男性だったら・・・

 

イヤだわ。

 

相手が誰でもイヤだわ。

 

「君のために嫌いなものは出さないように伝えてあるよ」だったらすごくイヤだ。

 

何扱いだ。

 

 

妄想は少し置いておいて、私は軽く答えた嫌いなものを他人に伝えられたことがめちゃくちゃ恥ずかしかった。

 

そんなつもりで話したんじゃないからだ。

 

お店側の対応は素晴らしいとは思う。

 

だが同伴者の嫌いな食べ物を聞かされて、お店側はどう思っただろう。

 

彼女だなとか、プロポーズするのかなとか、とにかく大事な相手を連れてくると思ったんじゃないか。

 

私の勝手な妄想に過ぎないが、なんだかお店のスタッフ全員がそんな目で見ている気がしてすごく恥ずかしかった。

 

やっぱりM氏の気持ちは私には合わないと思った。

 

 

つづく