黒子の黒い腹のうち

ひいた男、ムカつく女。

嘘八百B派遣会社(1)調子のいい営業マン

 

サト子に裏切られた際、同時期に揉めていたB派遣会社の話。

kuroikuroko.hatenablog.com

 

数年前、派遣仲間の勧めでB派遣会社に登録した。

 

主な派遣先はB派遣会社のグループ会社。

 

就活中だった当時、登録後にすんなり派遣先が決まった。

 

 

派遣先の紹介と、実際に決まった派遣先の事務担当は林(仮)という40半ばの女性、

 

派遣先の担当営業は今田(仮)という40後半くらいの男性だった。

 

 

先に書いておくが、こいつら最悪であった。

 

 

 

 

 

この時就業した派遣先はB派遣会社のグループ会社で大手電気会社。

 

配属されたのは事業推進やらをやっている部署で、男性4人の小さなチームだった。

 

ここでの作業は単純で、ちょっとした文書の修正や印刷が主だった。

 

この印刷。データが多くてなかなか大変で、先方の資料提出が遅れるとその分バタバタすることもあった。

 

しかし大半は暇だった。

 

 

 

時期は年度末。

 

私は花粉症持ちで、花粉症か風邪か分からない症状が出ることがあり、就業中に2日ほどダウンして欠勤したことがあった。

 

完治していない間に契約更新の件で事務担当の林が電話してきたので、林にはその時の体調不良は伝わった。なんせ声がガラガラだったもので。

 

その電話で林に

「黒井さんは本当に評判が良くてですね、すごく仕事ができると現場の方に言われてるんですよ」

と言われた。

 

 

 

仕事ができる・・・?

 

文書の修正と印刷しかやってないのに?

 

ほとんど暇なのに?

 

そんなに褒められることやってないんだけど・・・?

 

なんだか林が言う「仕事ができる」とはニュアンスが違う作業をしている気がしていたので、実際は現場の声など聞いていないのではないかと疑った。

 

 

いずれにしてもこれは林が大袈裟に持ち上げただけだと分かっていた。

 

適当に褒めやがって。

という内心とは裏腹に「ありがとうございます」とお礼を言っておいた。

 

 

その後一度だけ担当営業の今田とも電話で話をする機会があったのだが、今田もまた 

「黒井さんは本っ当に評判がいいんですよ。社員さんたちに大変好評でして・・・」

と持ち上げてきた。

 

これもまた大袈裟に褒めただけだと分かっていたため「ありがとうございます」とだけ言っておいた。

 

 

しかし、この今田。

 

本当に適当に言っていただけであったことが後ほど判明する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この電気会社での仕事は、繁忙期の数ヶ月だけの契約だったため結構あっという間に終了日を迎えた。確か半年未満の契約だった。

 

 

契約終了日の前日、チームメンバーと部長が送別会を開いてくれた時のこと。

 

上長に「そういえば今田くん元気?」と聞かれた。

 

私は「はぁ」とか「まぁ」とか答えた。

 

実際、就業初日以降今田には会っていないし、あの電話でしか話していない。

 

上長「あいつはねぇ、すごいんだよ営業が!」

 

上長が言うには、これまで今田は事あるごとに顔を出しては挨拶しに来ていたらしい。

 

うちの部に用がなくてもこの会社に来れば必ず会いに来るのだそうだ。

 

要するに営業しに頻繁に売り込みに来ていたわけだ。

 

しかし私が来てからというもの、今田は全く顔を出さなくなったという。

 

電話もないらしい。

 

上長「これはアイツ、派遣1人送って安心してるな!」

 

社員一同、笑いながら同じことを言っていた。

 

 

 

 

 

私が派遣されて以来、チームの誰も今田に会ってもいなければ話してもいないということは・・・

 

今田がこの前言っていた

「黒井さんは本っ当に評判がいいんですよ。社員さんたちに大変好評でして・・・」

っつーのはなんだ。嘘っぱち?

 

林に聞いて適当に言ったとか・・・?

 

そもそも林は社員と連絡を取っていたのだろうか。

 

 

なんだよ。自分が直接現場の社員に聞きました的な言い方しやがって。

 

なんにしてもやっぱり適当だったな。

 

と思ったのだが。

 

 

今田の適当さは私の想像を超えていた。

 

 

 

 

 

送別会の翌日。派遣期間終了日。

 

最後だからと今田が私のところへ挨拶に来た。

 

打ち合わせスペースやちょっとした小部屋がないため、私は廊下に呼ばれた。

 

今田「今日まで本当にお疲れ様でした。」

 

こちらこそお世話になりました。

と言ったところ。

 

今田が変なことを言い出した。

 

「黒井さん、就業中ずっと体調が悪かったですよね、みんな心配してたんですよ」

 

 

 

 

 

 

歯。 

 

何のこと・・・?

 

確かに花粉症で鼻グズグズ言わせていたけれど。

 

周囲は花粉症だって分かってるし。体調が悪いと言うほどでもない。

 

もしかして2日間欠勤した時のこと言ってんの?林に聞いて?

 

でも調子悪かったって言っても2日間だけなんですけど。

 

しかも随分前なんですけど。

 

あんたが言うと慢性的に聞こえるんですけど。

 

ていうかみんなって誰。

 

 

黒子「え、何のことですか・・・誰が言ってたんですか?」

 

今田はちょっと目を泳がせた。

 

今田「みなさん言ってましたよ、体調悪そうだし大丈夫かな、休ませてあげたいけどって・・」

 

 

休ませて「あげたい」・・・???

 

んなこと社員が言うわけねぇだろ。

 

 

黒子「花粉症のことですかね・・・?みなさんって現場の社員さんたちですか・・・?」

 

今田「えぇそうですよ、みなさんすごく心配されていて・・・」

 

オドオドしながら今田は続けた。

 

今田「本当は休ませた方がいいんだろうけど、繁忙期でそういうわけにもいかないし、申し訳ないけど黒井さんに頑張ってもらうしかないねって言ってて。

 

でもねぇ、黒井さん本当に頑張ってくれて、すごく仕事ができるって本当に評判が良かったんですよ〜。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歯。  

 

これはもう適当どころじゃない。

 

嘘っぱちだ。

 

嘘しか並べていない。 

 

 

前日の送別会で上長は

私が派遣されてから今田とは一度も連絡とってないって言ってたんですけど。

 

全く顔も出さなくなったって言ってたんですけど。

 

私が来てから今田とは一度も話してないって

 

社員全員が言ってたんですけど。

 

 

”みなさんすごく心配してた”って

私は現場で「大丈夫?」なんて声をかけてもらったこともないし、花粉症で心配してくれてた人なんて誰1人いなかったんですけど。

 

 

だいたい社員が「休ませてあげたい」とか「休ませた方がいい」などと言うわけがない。

 

仕事をしてもらうために派遣を雇ったのだ。

 

体調不良は自己管理の問題だ。

 

そもそも花粉症の症状ごときでそんな話が出るはずもない。

 

 

調子が悪そうだったっつーのも林から聞いただけだろ?

 

その林も社員と話したかは甚だ疑わしい。

 

何が ”現場の社員さんたちがみんな心配してた” だ。

 

これは ”社員たちとこまめに連絡取ってあなたの評判を聞いてますよ” アピールだ。

 

とにかく適当に派遣社員を持ち上げて次の仕事に繋げようって算段だな。

 

営業らしいがヘタクソだ。

 

 

しかし私はこの電気会社が居心地が良かったため、今後もこの会社で縁があればと願っていたし、この先希望職の紹介があればB派遣会社を利用するつもりでいた。

 

B派遣会社の営業マンが適当な奴でも働く現場が良ければいいのだ。

 

なのでこんなヘタクソなおべっかを使われても笑顔で対応した。

 

黒子「そうですか^^」

 

そして早速今田は次の仕事の話を始めたのだが。

 

またまた調子のいいことをあれこれ言ってきた。