黒子の黒い腹のうち

ひいた男、ムカつく女。

コスプレに走ったフミ子(4)方向音痴②

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高校卒業後、私は上京していた。

 

フミ子両親のいずれかの実家は神奈川にある。

 

ある時、フミ子が祖父母の家に遊びにいくから東京で会おうということになった。

 

コスプレ好きなフミ子が行きたがったのはもちろん秋葉原だったが、その前にフミ子が神奈川にいるので横浜で会うことになった。

 

 

 

これが本当に大変だった。

 

ものすごーーーーーーーーーーーーーーく大変だった。

 

 

 

 

フミ子は精神的に病んでしまってからはメールは短文、絵文字なしがデフォルト。

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3つ質問投げても「うん」とか「ちがうよ」でしか返してこない。

 

よって解読できない。

 

おまけにものすごく方向音痴。

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私は横浜の土地勘がなかったが、

 

でもフミ子は子供の頃に神奈川に住んでたこともあるし、今でも頻繁に遊びに来るから大丈夫だろう。

 

そう思い込んだ。

 

そうであってくれと願っていた、が正解かもしれない。

 

 

 

その時は冬で、当日は夕方から会うことにしていた。

 

もう外も真っ暗。

 

みなとみらいに行く予定だったので、最寄駅で待ち合わせだった。

 

私はフミ子の方向音痴を懸念し、メールで何度も

 

「私はこの辺の土地勘がないから、駅に着いたら教えて。改札出たらそこから動かないで、何口にいるのかを教えて。そこに行くから」

 

と連絡した。

 

フミ子は「うん」とか「わかった」とか返してきた。

 

 

 

私の方が先に駅に着いており、ようやくフミ子から「着いたよ」メールが届いた。

 

・・・だから何口にいるかを言えよ。

 

黒子「何口の改札?」

 

フミ子「わかんない」

 

 

 

 

 

 

歯。

 

 

 

 

 

 

そんなのすぐ標示があるだろうに。

 

黒子「どこから出たの?」

 

フミ子「わかんない。外にいるよ。」

 

 

 

 

 

 

 

歯。

 

 

 

外って屋外・・・?

 

いやまさか。

 

あれだけメールで改札から動くなって言ったんだし。

 

土地勘のない場所でしかもこんなに人でごった返している所でフミ子探すなんて冗談じゃねぇぞ?

 

 

自ら伝える努力をしないフミ子に腹が立って私は電話した。

 

黒子「今どこ?」

 

フミ子「わかんない」

 

イラッ。

 

黒子「外って改札の外に出たってことだよね?何口にいるの?」

 

フミ子「ううん。外」

 

イライラッ。

 

黒子「は?駅の外に出たってこと?」

 

フミ子「うん。人に流されて階段登って外に出てきた。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バカ女!!

 

 

黒子「もう!!土地勘ないから改札から動かないでって言ったじゃない!!外に出られたら私だってわからないよ!!」

 

フミ子「ごめん。だって出ちゃった。」

 

だってじゃねぇ!!

 

黒子「それで外ってどこにいるの?」

 

フミ子「わかんない」

 

イライライライラ・・・・・・ッ!!!!

 

黒子「わかんないって私はもっとわかんないよ!!今きた道を逆戻りして改札に戻ってこれる?」

 

できるわけないけど聞いてみた。

 

フミ子「わかんない。改札出てすぐの階段登ってさーっと出てきちゃったから、どの階段から出てきたのかわかんない。」

 

コイツ・・・・!!!!!

 

自分から動くつもりもねぇわ。

 

黒子「勘弁してよ;わかんないばっかり言ってないでもっと周りに何があるとか教えてよ!!探せないじゃない!!」

 

フミ子「え、だって建物ばっかりでホントにわかんない。イルミネーションがあるけど。」

 

黒子「どんなイルミネーション?」

 

フミ子「え、わかんない。なんかイルミネーション」

 

 

 

 

私はこんなヤツと今から会うのか?

 

これだけで帰りたかったが、

 

もう絶対にそこから一歩も動くなとフミ子に釘を刺し、

 

ひとまずインフォメーションを探し、

 

駅出てすぐに何かのイルミネーションが見える場所ってありますかとお姉さんに聞き、

 

なんのイルミネーションでしょうかと聞き返され、

 

わからないけど友人が駅から出てイルミネーションが見える場所にいると言っていてそれしか情報がないのでと恥ずかしい思いをしながら伝え、

 

なんとかそれっぽいところを見つけた。

 

 

確かに構内からもイルミネーションは見えるが、このイルミネーションがまた規模が大きい。

 

多分これだけど、一体フミ子はこれをどこから見てるんだろうか。

 

またフミ子に電話する黒子。

 

黒子「イルミネーションあるけどそれのどこにいるの」

 

フミ子「わかんない」

 

 

オマエいい加減にしろ。

 

 

黒子「わかんないじゃなくて!どんなものが見える位置にいるとか!」

 

私は走り回っていた。

 

と、その時フミ子らしき人物を見つけた。

 

 

 

 

あーーーーーーーーーーーー疲れた。

 

 

たかが待ち合わせ。

 

フミ子が相手だと1時間くらい余分にスケジュールに入れ込むべきだと教訓になった。